西洋建築の旅 ロマネスク様式編

古代ギリシャ・ローマから19世紀末のアール・ヌーヴォーまで西洋建築史を辿ります。

ポワティエのノートルダム・ラ・グランド教会
ポワティエのノートルダム・ラ・グランド教会
ユーラシア旅行社
ボイの谷/北スペイン
モワサックのサン・ピエール修道院回廊
モワサックのサン・ピエール修道院

ロマネスク様式

 ロマネスクとは、後代の人間が、「連続する丸みを帯びたアーチが古代ローマ建築のようである」と、「ローマ風」という意味で付けた呼び名だ。 
 紀元6世紀頃、西ヨーロッパではローマ帝国の栄華に翳りが見え、異民族が各地から流入してくるとともに、それぞれの信仰や芸術をヨーロッパ中部へともたらしていた。
 
 そんな混沌の時代、民衆の心をまとめる時、あるいは共通の敵イスラム教徒と対峙する時、為政者たちはキリスト教の旗を掲げ、多くの教会を建立し、修道院に寄進した。そして11世紀、人々が恐れたミレニアム(1000年)を過ぎてなおこの世が存在した安堵と、高まるレコンキスタの気運、聖地サンティアゴ・デ・コンポステラの発見、そして気候の温暖化によるヨーロッパ各地の農業生産の安定により、スペイン北部やフランスの巡礼路沿いを中心に、ローマ時代から受け継いだ建物の上に、あるいはその建築技術で、さらに多くの教会が建てられていった。それは朽ちることのない石造りの強固な教会。各地の聖地巡礼者や十字軍に従事する人々、広域を旅する商人たちが、文物の交流を促し、教会建造の勢いとロマネスク様式は、爆発的にヨーロッパ中に広がっていった。
 
 上部が丸いアーチ、分厚い壁と太い柱、小さな窓から射す光の神々しさはどれも似ているようではあるが、建材や彫刻や壁画等の装飾は各地の個性にあふれている。まばゆい天上の描写、おどろおどろしい地獄の様には、漫画的な愛らしさも感じられる。 
 ロマネスク建築を訪ねる旅は、スペインやフランス、イタリア等、今もカトリックの信仰が残る国々で、田舎巡りをすることが多いが、ヨーロッパ北部のプロテスタントが大勢の国々で、ひっそりと残っているロマネスクの逸品を探すのも大きな楽しみである。
 
 北の海路の中継地であった現スウェーデンのゴットランド島もそのひとつ。100もの教会が今も点在する島を巡ると
、「ああ、まだここに残っている!」という感動に出会える。例えば扉口の装飾に、どっしりとした洗礼盤に、あるいはバイキングのピクチャーストーンを利用した壁面に。
 その多くは浮き彫りを伴っている。古の信仰やヘレニズムの立体像への思慕が、偶像を禁じたキリスト教の則を越えようとする動きだ。次のゴシックの時代、天使や聖人たちは独立した一つの彫像となり、重い石壁からの脱出を果たした。
 
 
クヴェトリンブルクの聖セルヴァティウス教会
クヴェトリンブルクの聖セルヴァティウス教会
フォーレ教会の洗礼盤(スウェーデン)
フォーレ教会の洗礼盤(スウェーデン)
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