西洋建築の旅 バロック様式編

古代ギリシャ・ローマから19世紀末のアール・ヌーヴォーまで西洋建築史を辿ります。

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バロック様式

 ポルトガル語で〝歪な真珠〟を意味するバロック様式は、過剰なほどの装飾とそれによる圧倒的な存在感が特徴だ。前時代の15世紀に、イタリアから広まったルネサンス様式の均整の取れたスタイルは、16世紀末になると物足りないと感じられるようになる。代わって現れたバロック様式は、曲線を描く梁、より高くなった天井、躍動感あふれる彫像など、どれをとっても調和の取れた世界に慣れた人々にとって衝撃的だったに違いない。
 
 折しも16世紀という時代は宗教改革の後の過渡期で、プロテスタント勢力の急速な拡大を受け、カトリック側が求心力の回復を図った時代だった。高くなった教会の丸天井に描かれた宗教画は、背景が黒く塗られることで飛び出すような立体感が生まれ、あたかも頭上に天国があるかのような演出ができた。偶像崇拝を禁じるプロテスタントに対し、目に訴えるバロック様式は教会の権威を示すのに最も適した手法だった。また、絶対王政の時代に向かう中で、王権の正統性を主張する役目も十二分に果たしたに違いない。まさに時代が育んだ流れといえよう。
 
 バロック様式が浸透したのは教会や宮殿だけではない。中欧の美都プラハのヴルタヴァ川に架かるカレル橋は、優美な16連のアーチを持ち、その欄干には30体の聖人像が並ぶ。橋の完成は1402年のゴシック様式だが、彫像群はバロックが開花した17世紀から18世紀にかけて少しずつ建てられていった。聖母マリアや洗礼者ヨハネといった一般的な聖人から、チェコのキリスト教の祖キリルとメトディウス、一足早くチェコに宗教改革をもたらしたヤン・ネポムツキーといったチェコに縁ある聖人、フランシスコ・ザビエルなど反宗教改革派の聖人。市民や貴族、修道院からの寄付による彫像には激動のチェコの宗教史が凝縮されたかのように多彩な顔触れが並ぶ。王宮と市街を結ぶ橋の上、多くの人が往来する場所にこの彫像群が建てられた点も非常に巧妙だ。うつむき加減に見下ろす聖人の表情や天へと伸ばされた手、流れるような衣服の裾は、今にも動き出しそうな臨場感を醸し出す。こうした現実を再現する力こそ、バロックの魅力だ。

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