徳島旅行・ツアー・観光特集〜日本三大秘境、祖谷の大自然に抱かれて〜

日本の原風景が残る隠れ里の絶景、「祖谷渓、大歩危・小歩危」を巡る旅

  • 祖谷渓のかずら橋

  • 奥祖谷二重かずら橋

  • 蔦を握り一歩一歩

  • 断崖絶壁に立つ小便小僧

  • 急峻な斜面に広がる落合集落

 

 

日本三大秘境、祖谷とは

四国地方、徳島県。その中央に聳える剣山(つるぎさん)を水源とし、西へと流れる祖谷川の流域を祖谷(いや)と呼びます。山々と川が織りなす美しい渓谷と、そこで共存する人々が育んだ風景は、日本三大秘境のひとつに数えられています。ちなみに祖谷川は50キロほど渓谷の中を旅したあと、本流である吉野川へと合流します。

絶景とスリルのせめぎ合い、かずら橋

かずら橋 祖谷渓のかずら橋

かずら橋は祖谷川に架かる橋で、シラクチカズラを編んで造られています。シラクチカズラとはサルナシの別名で、高冷山間地で生育する植物です。太くで丈夫な蔓が、ロープの代わりにぐるぐると柱に巻き付けてあり、なかなかに風流。足元は細い棒が渡してあるだけなので、隙間からは祖谷川の澄んだ流れがよく見えます。川から橋までは4階建ての建物ほどの高さがあるので、ちょっぴりスリリングな気持ちも味わえます。

実はもうひとつある、かずら橋

  • 祖谷のかずら橋 JSTB

    奥祖谷二重かずら橋

  • 奥祖谷二重かずら橋

    蔦を握り一歩一歩

  • 奥祖谷二重かずら橋

    足元もスリル満点!

最初にご紹介したかずら橋よりも上流に、もうひとつのかずら橋があります。それが、奥祖谷二重(おくいやにじゅう)かずら橋です。なぜ「二重」かというと、ここには2つの橋が並んで架けられているからです。大きい方を男橋(おばし)、小さい方を女橋(めばし)といいます。ひとつめのかずら橋と比べるとどちらも大きさは劣りますが、より山奥にあり、「秘境に来た!」感を楽しむことができます。もうひとつ、ここで是非体験していただきたいのが「野猿(やえん)」です。これは人力のロープウェイで、女橋の隣に架けられています。両岸に渡されたロープに、屋形(やかた)と呼ばれる籠が吊り下げられており、これに乗った人が自分でロープを引いて、対岸へと渡る仕組みです。大人3人ほど一緒に乗れて、皆で力を合わせて引くと、結構スイスイ進みます。

絶景を見下ろし解放的!?小便小僧

祖谷の小便小僧 JSTB 断崖絶壁に立つ小便小僧

祖谷川に並走する街道沿いに一つだけ断崖絶壁に突き出た岩があり、そこに彼は佇んでいます。凡そ200mほどもある谷底に向かって、なんの恐怖心もなく。昔、子どもや工事の作業員、そこを通る旅人たちが、度胸試しのためにその岩周辺から小便をしたことが由来で像が設置されたようです。

自然と共存する落合集落

落合集落 急峻な斜面に広がる落合集落

落合集落は、祖谷川とその支流である落合川の合流する山岳地帯にあります。茅葺屋根の民家が山の斜面にぽつぽつと立ち、自然と共存する姿を望むことができます。江戸時代からの伝統を守り抜くその姿勢から、重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。

平家の落人伝説

鉾神社・鉾杉 鉾神社の御神木、鉾杉

1180年から6年かけて行われた治承・寿永の乱(じしょう・じゅえいのらん)。平家とその反対勢力が争った内乱で、日本で初めて全国的に広がった戦いといわれています。この乱で最後の戦いとなったのが、かの有名な壇ノ浦の戦いで、これにて源氏に敗れた平家は全国に散らばっていくこととなりました。そのため日本各地に平家の落人伝説が残っており、祖谷もそのひとつです。
祖谷に逃れたとされているのは、平清盛の甥にあたる平教経(たいらのつねのり)と、安徳天皇。二人は壇ノ浦の戦いで自ら命を絶ったとされていますが、実は入水したのは影武者で、祖谷の地に逃れ、ひっそりと生き延びたという伝説が残っているのです。確かに現代でさえ秘境と言われる祖谷は、隠れ偲ぶには絶好の地であったのかもしれません。
祖谷には、その伝説を裏付けるかのように、安徳天皇のお墓があるとされる栗枝渡八幡(くりしどはちまん)神社や平教経が鉾を奉納したとされる鉾神社など、平家ゆかりの地がたくさんあります。

渓谷美を堪能、大歩危小歩危(おおぼけこぼけ)

  • 大歩危

    大歩危の舟くだりにて

  • 大歩危

    大理石の彫刻がそそり立っているかのような景観

まるで漫才コンビのような、一度聞いたら忘れられない名前ですが、これは吉野川の渓谷の一部を指します。吉野川は祖谷川の本流で、高知県から徳島県へと流れる川です。大歩危小歩危はそのなかでも、愛媛県、高知県の県境に位置する徳島県三好市のあたりを流れる地域を指します。上流にあるのが大歩危で、下流にあるのが小歩危。約2億年という長い年月をかけて、川が岩肌を削って創り出した自然美が広がります。日本屈指の激流地帯でもあり「大股で歩くと危ない」、「小股で歩いても危ない」というのが名前の由来だとか。迫力満点の断崖絶壁に挟まれながら楽しめる、舟くだりやラフティングが人気です。

特集記事「大歩危小歩危とは、その名の由来とおすすめ観光(徳島県)」はこちら

絶対泊まりたい!祖谷渓温泉、秘境の湯

祖谷渓温泉 祖谷渓温泉秘境の湯の大浴場

日本三大秘境祖谷渓での宿泊には、その名の通り秘境気分を味わえる祖谷渓温泉ホテル「秘境の湯」がおすすめです。祖谷渓の秘境らしい雰囲気に溶け込みながらも、内部は設備が整っており、快適な滞在をお楽しみいただけます。好評の温泉は、阿波の青石を敷き詰めて祖谷渓を見下ろす大浴場、野趣溢れる露天風呂でお楽しみください。
祖谷の大自然が育んだ川魚や山菜を味わえる郷土料理も美味です。

秘境の澄んだ空気と清流が育む、祖谷グルメ

祖谷グルメ でごまわしと川魚

祖谷は、深い山中にあり、昼夜の温度差が激しいため、良質なそばの実の産地になっています。祖谷そばは、平家の落人が常食として作り出したとされています。太くて短い麺が特徴で、つなぎをほとんど使用しないため、そば本来の豊かな香りや甘みを味わうことができます。
「ごうしいも」という祖谷地方特有の小さなジャガイモ、岩豆腐、こんにゃくなどを串に刺した味噌田楽「でこまわし」もおすすめ。串を囲炉裏にたて、こげないように回しながら焼く様子が、伝統芸能の阿波人形浄瑠璃の木偶(でこ)人形の頭を回しているように見えたことから、この名が付けられたそうです。
また、祖谷川の清流では、川魚釣りが盛んに行われています。祖谷地方に伝わる料理「ひらら焼き」は、河原にある平らな石(ひらら)の上にアユやアメゴを乗せ焼く原始的な野外料理。周囲に味噌で土手を作り、具から出るだしや旨味が逃げないようにします。来客などへの接待料理、親族や友人が集まったときの団欒の料理として受け継がれています。

添乗員がご紹介する祖谷渓の魅力