当社のターゲットは商品選別の目が厳しい円熟層です。

 当社の旅行企画とサービスは、社会的円熟層に向けて発しています。ここでいう円熟層とは、シルバー世代だけではなく、「社会的にある程度成熟した消費生活を行う人々全体」を指します。この成熟の意味は、衣食住が足りて人生において心の満足を切実に求め、実際に行動を起こそうとしている状態のことです。

 こうした人達は、商品選別の目が厳しく、広告に煽動されたり、流行を追いかけるのではなく、自分を熟知し、自分のためになるかどうかを考えて、商品やサービスを厳選します。年齢に関係なく、衣食住の足りた人々は、最初は、享楽的なことへの消費意欲が盛んになりますが、ある域を越えると、自分の内面に向き合うライフスタイルを 模索する傾向があるように思われます。カルチャーセンターの活気、各種の美術展や文明展などの盛況、写真や俳句などを趣味とする中高年の増大。バブルの狂騒が過ぎ去った後、刹那的なライフスタイルではなく、自分自身の糧になるものを求める人々が、少しずつ増えてきているように思われます。

 高齢化社会と言われるようになり、熟年層の生き甲斐が真剣に議論されるようになってきていますが、今後、生き方に関する議論は、熟年層だけの問題ではなく、中年から若年へと大きく広がっていくものと考えられます。

 近年の日本経済の不況は、消費のメカニズムが変わったことが一つの大きな原因であり、消費者が買いたいものは、もはや生活に便利な物や持っていないと恥ずかしい物という段階は越えていると考えられます。自分の生き方の模索と消費スタイルの関わりが緊密になり、そのため、人々は慎重に身を構えて、サービスや商品を購入するようになりました。そのように賢く目の肥えた消費者のことを、当社は円熟層と名付けております。

 人間は、様々な経験を重ねると、必ず円熟化していくと当社は信じています。現時点において当社の顧客構成は、比較的シルバー層の占める割合が大きいのですが、それは、旅行内容が、シルバー層の体力に合わせたものであるという理由からではありません。もちろん、元気でエネルギーに満ちたシルバー層も多く、その方々は、体力的な理由からだけではなく、自分の世界を広げるために当社の旅行に参加されます。シルバー層の多くは、その人生経験の豊富さゆえに、精神的に円熟していることは事実です。しかし急速に時代環境が変化する今日では、人々の経験も増し、円熟化の年齢が下がってくると思われます。

 当社は、世代を越え、ありきたりものでは満足できない人を対象に、商品とサービスを磨きつづけていきたいと考えています。

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